こんにちは、管理人のひかるです。
確定申告でバタバタし、読書は細切れになっていましたが、ようやく読み終わりました。
『騎士団長殺し 第2部(上)』村上春樹
です。
起承転結の「転」を迎え、いよいよ不吉な何かが起こりはじめました。
確定申告や仕事で忙しくても、本を読んでいるときだけ、別世界へ行けますね。
ようこそ、イデアとメタファーの世界へ。

と書いてみたけど、意味わからん
『騎士団長殺し 第2部(上)』はこんな本
『騎士団長殺し』は村上春樹さんの長編小説。
文庫版は第1部・第2部のそれぞれ上・下巻があり、4分冊販売されています。
今回読んだのは第2部の上巻、4分冊の3冊目にあたります。
起承転結の「転」にあたるので、物語はこれまで以上に大きく動き出しました。
『騎士団長殺し 第2部(上)』のあらすじはこんな感じ↓
「私」が描いた免色の肖像画を見に、秋川まりえと笙子は免色の家を訪れる。
免色と笙子が接近する一方で、まりえは免色に対して警戒心を抱く。
『騎士団長殺し』を描いた日本画家、雨田具彦の弟・継彦の過去が明らかになり…
「私」は、穴の絵を描きたくなり…
鈴がなくなり…
いるはずのない雨田画伯がスタジオに現れ…
「私」は元妻の妊娠を知らされ…
さまざまな出来事が持ち上がる中、秋川まりえが行方不明になってしまう。
戸惑う「私」の前に、騎士団長が再び現れる。
いろいろなことが起こりますが、物語はどう収束していくのでしょうか。

あらすじにすると、わけからんやん
『騎士団長殺し 第2部(上)』で回収された謎・伏線
『騎士団長殺し 第1部』の謎の中で、第2部(上)で明かされたものがいくつかありました。
第2部上巻で明かされた謎は、
です。
※ネタバレを含みますので、ご注意ください。
石室の蓋の重しを動かしたのは誰か?
石室の蓋の重しを動かしたのは、秋川まりえでした。
近隣の山には、彼女の「秘密の通路」があり、まりえは穴の存在をしっていました。
そして、「私」に警告を与えます。
「あそこはあんな風に掘り起こしたりするべきではなかった」、まりえは唐突にそう言った。
『騎士団長殺し 第2部(上)』より引用
その後、秋川まりえは行方不明になってしまいます。
「私」と免色が穴をあばいてしまったせいなのかもしれません。
免色渉の目的
免色が「私」に接触してきた目的は、第1部下巻で明かされました。
「娘かもしれない」少女、秋川まりえの絵を「私」に書かせるためでした。
そして、その目的は、以前の記事で予想した通りでした。
人物の本質を見抜ける「私」を通して、自分の娘かどうかを確かめたかったのです。
しかし、もちろん本当の娘である確証は得られませんでした。
一方で、秋川まりえは免色が双眼鏡を持っているのを発見し、秋川家がこっそり観察されていたことにうっすら気づきます。
※『騎士団長殺し 第1部(下)』のレビュー記事はこちらです↓
『騎士団長殺し 第2部(上)』で残る謎
いくつかの謎は解明されましたが、まだ回収されていない伏線もありました。
などです。
また、第2部の上巻で新たな謎も出てきました。
- 雨田政彦の出刃包丁はどこへ行ったのか?
- 誰が何のために穴を開き梯子を外したのか?
- 騎士団長の言う「犠牲」とは何なのか?
- 「遷ろうメタファー」は何を意味するのか?
他にも「私」が見た性夢、まりえの父がのめり込んでいる宗教など、気になる伏線はたくさんあります。
ただ、ストーリーの本筋としては、この4つの謎がポイントになると感じます。
考察とは呼べないまでも、どんな展開になるのか予想してみたいと思います。

伏線全部、回収できる?
雨田政彦の出刃包丁はどこに行ったのか?
雨田政彦が「私」の家(元は雨田家のもの)に泊まりにきて、2人は語らいます。
翌朝、政彦がボルボに乗って帰っていくのですが、彼が料理のために持ってきた出刃包丁が行方不明になります。
その日、ひとつ腑に落ちないことがあった。それは雨田が魚をおろすために持参した出刃包丁が見つからなかったことだ。
紛失物にしては、危険すぎます。
これが伏線でない、なんてことはないはず…
きっと下巻のどこかで何か重要なアイテムとなって登場するのではないでしょうか。
誰が何のために穴を開き梯子を外したのか?
後半で秋川まりえが行方不明になってしまいます。
同時に、再び誰かが石室の蓋を動かし、そのハシゴを取り外していました。
直前に穴を開いた、秋川まりえ本人が怪しいですね。
ただ、穴がどこかにつながっていて、まりえがその穴に入り込んでしまったとしたら、彼女自身が梯子を外したとは考えにくい。
「つまり、いつだったかはわからないけれど、彼女はおそらく一人であの穴の中に入った。そして自分にとって大事なお守りであるペンギンのフィギュアを残していった。どうやらそういうことになりそうですね」
読者は、ペンギンの人形がお守りであることを知っています。
第1部上巻のプロローグで、〈顔のない男〉がそう語っていました。
でも、「私」や免色が、ペンギンの人形を「護符」として解釈するのは少し強引な気がします。
ただただ「ペンギンの人形を落とした」と予想するのが普通でしょう。
村上春樹さんが「私」と免色に語らせているのだからこそ、ペンギンの人形はお守りであり、まりえはきっと無事でいると考えられます。
※『騎士団長殺し 第1部(上)』のレビュー記事はこちらです↓
騎士団長の言う「犠牲」とは何なのか?
では、行方不明になった秋川まりえを誰が救いにいくのか?
それはもちろん主人公である「私」に違いありません。
「私」は妹を失い、妻を奪われた状態です。
また、閉所恐怖症です。
「私」は何らかの形で、それらの悲しみやトラウマ(伏線)に立ち向かっていくのではないでしょうか?
騎士団長の姿をしたイデアが「私」に言います。
「諸君にひとつだけヒントをあげよう。しかしその結果、いくつかの犠牲が出るかもしれないが、それでもかまわんかね?」
この「犠牲」が何を意味するのかは、まだわかりません。
ただ、「私」が何か犠牲を払って、秋川まりえを救い出すのは間違いなさそうです。
そして、騎士団長(イデア)は次のようにも言いました。
「土曜日の午前中に、つまり今日の昼前に、諸君に電話がひとつかかってくる(中略)そして誰かが諸君を何かに誘うだろう。そしてだとえどのような事情があろうと、諸君はそれを断ってはならん。わかったかね?」
めっちゃもったいぶってくるやん。
これはもはや謎や伏線というよりも、次の展開を教えてくれているだけですが、いったい誰が電話してきて、何を誘ってくるのか…
免色か、秋川笙子か、雨田政彦か、元妻か、白いスバル・フォレスターの男か…

大穴予想は、雨田具彦!
「遷ろうメタファー」は何を意味するのか?
また、第2部のタイトルになっている『遷ろうメタファー』というフレーズも気になるところ。
第1部のタイトルは『顕れるイデア』でした。
そして、タイトルの通り、イデアは騎士団長の姿をとって「私」の前に顕れました。
メタファーとは「隠喩(暗喩)」のことですね。
「まるで~のよう」、「あたかも~みたい」といった明らかな比喩(直喩・明喩)ではなく、こっそりと示された比喩です。
隠喩としての最有力なのは、もちろん絵画『騎士団長殺し』です。
あの絵が何を表しているのか、その「メタファー」がやはり物語のカギになっているはずです。
ただ、「遷ろう」んですよね、メタファーが…
まとめ:『騎士団長殺し 第2部(上)』まりえの身に何かが起こる…【書評29】
いろいろなことが下巻に持ち越される第2部上巻。
いろいろなところに残された謎・伏線は、どうまとまっていくのか。
それとも謎は謎のまま残されるのか。

あるいはそうかもしれない。
そうでないかもしれない。


